人はなぜ、熱いラーメンを食べたがるのか?

なぜ人々は熱々のラーメンを求めるのでしょうか?「熱い食べ物」のデメリットには、まず、味をきちんと味わえないことが挙げられます。また、口の中を火傷するリスクもあります。では、なぜ最初から温度を低くして提供しないのでしょうか?

実は、大海軒のスープがなぜ熱い(温かさを調節できない)のかには技術的な理由があります。永福町系大勝軒では、羽釜に多量の素材を入れてスープを作ります。この方式では、使った分の水を加え、エキスを抽出するために常に加熱し続けなければなりません。そのため、「温度調節」が難しいのです。一方、通常のラーメン店では、作り置きしたスープを提供直前に手鍋で温め直すため、比較的温度調節がしやすいと言えます。

それでは、「なぜ熱いものを求めるのか?」という疑問について考えてみましょう。SNSや口コミサイトでは、文字によるレビューや食レポが容易に利用できます。これにより、「この店のスープは熱い」「最後まで冷めない」「火傷する」といった情報が事前に入手できるようになりました。実際に食べて感じる「熱さ」は、味覚以上に痛みに似た体験として記憶に残りやすくなります。そのため、「また食べたい」という欲求が生まれるのです。ただし、熱いものが苦手な人々は、逆に「もう食べたくない」と感じるでしょう。これが、人々の間で「賛否両論のラーメン」と呼ばれる理由の一つです。

この現象は脳科学的な視点からも説明できます。「熱いものを食べる」という行為がトリガーとなり、「美味しいものを食べる」という経験がアンカーとなります。

しかし、大海軒のスープは冷めにくいだけで、永遠に熱いわけではありません。スープが冷めて飲みごろになるタイミングがやってきます。どんぶりも開口部が大きく、深さが浅い「玉丼」を使っているので比較的、温度を下げるのに寄与していると思います。その時には、煮干しの旨味が豊かに広がるでしょう。このように、大海軒のラーメンは熱さから始まり、「美味しいものを食べて幸せ」という経験に結びつくことで、再び美味しいと感じるのでしょう。

一方で、冷める前に食べたいという欲求から、お酢やラー油を大量に加える人もいます。しかし、これによって本来の味が壊れ、スープが残る可能性が高くなります。したがって、どのラーメン店でも最初は冷めるのを待って、少しずつ楽しむことをおすすめします。

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